”腹” は単に内臓が入っているだけの場所ではなく、腰や背中、ひいてはその人の体の全体的なバランスの状態を非常によく映し出している所と言えます。
今はほとんど見られなくなりましたが、昔は病院へ行くと、お医者さんがまずお腹をポンポンと叩いて、腹の状態を確認する診察がありました。そういうお医者さんは、単に内臓だけじゃなく、総合的に患者の体の状態を診ていたと思われます。というのも、
体の連動という観点から見てみると腰や背中の硬直、その人の今現在の体力などがお腹を触ることによって判断できるからです。
「腰が痛いのなら腹筋を鍛えれば良い」とよくいわれますが、これは「固めてしまえば痛みが出ない」という意味でしかなく、とても乱暴な考えです。確かに筋肉をつけることは悪いことではないですが、お腹の伸びとか緩みとかが無いとことに硬い筋肉をつけるのは意味がないですし、下手をすると逆効果になりかねません。腰の弾力、反りというものがあって、腰の緊張は回避されます。だから腹筋は緩んでいなければならないのです。
では、どこをどうすれば”腰痛”が防げるのでしょうか?
”腰痛” になると ”腹” が硬くなります。
しかし、それは単純に腹筋が硬くなったからではありません。
腹筋とは、腹直筋、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋、という非常に表面に近い表層筋ですが、これらだけで腰を曲げたり伸ばしたりしているわけじゃありません。これらの動きを司どっているのは、むしろ深層部にある「腸腰筋」なのです。大腰筋、小腰筋、腸骨筋、で構成される「腸腰筋」は、腰の骨、骨盤、そして股関節に付着して腰の土台を支えています。その「腸腰筋」が硬くなと ”腰痛” を引き起こします。
「腸腰筋」は弾力があって張りがあり、強張りがなく偏りがない、それが維持されることで、しっかりと腰を支えられる状態になるのです。ですから、”腰痛”回避には「腸腰筋」の状態がキーワードになります。
「腸腰筋」を整えるにはどのようにしたら良いのでしょう?
腸腰筋はお腹というより背中に近い腹部の奥深くに在ります。
まずは両手でお腹を押してみましょう!
まずは床に仰向けになって下さい。
1)表面上にも深層筋である腸腰筋の状態が反映されています。
腹部に硬い ”こわばり” の様なものがある場合はそこを指先で抑え込み暫くじっとしています。すると次第に緩んでくると思います。なかなか緩まない時には軽く擦って下さい。
2)両ひざを曲げて脚を立てます。そしてその両脚をゆっくりと左右に倒します。その時、少しお腹を引き伸ばす様にして倒します。余裕のある方は、腹部のこわばりや股関節の付け根を指で押し当てながら倒したり、片脚ずつ交互に行いましょう。
3)両足首を交差させ、その脚を床から離して持ち上げてお腹に引き寄せます(下腹部の腹筋運動)。足首交差は交互に組み換え、足首腰の痛い方は腰の下にクッションを置くと良いでしょう。
これらは簡単な「腸腰筋」の調整運動です。
まずは、これから始めてみましょう!^^